『手の内』とは、弓手の手の整え方のことを指します。
弓道の『手の内』については弓道の中では、とても覚えるのが難しいともいわれています。
特に『手の内』の小指に関してやその他にも・・・
- 『小指にマメができる』
- 『手の内が崩れる、修正方法がわからない』
- 『手の内でできたマメが痛い』
- 『虎口の皮がむけて痛くてしかたがない』
- 『手の内が緩むので、安定させたい』
このような『手の内』の悩みをもたれていませんか?
先入観で『手の内』が難しいと思い込むのも勿体ないものです。
『手の内』がナゼ難しいと思うのかを理解して、実際に『手の内』の作り方を覚えていきましょう。
『手の内』での小指について
弓道の手の内での小指について悩まれている人は多いです。
そこで、今回は手の内の小指の使い方・作り方でおさえて欲しいポイントを解説していきます。
『手の内』での小指が整っているかを診断
まずはあなたが『手の内』で小指がちゃんと使えているかどうかを診断していきます。
その方法は・・・
左手(弓手)の手のひらを確認します。
もし弓手の小指の付け根の部分にマメがあった場合には『手の内』を改善する必要があります。
小指の付け根部分にできたマメは、『手の内』を整える時にしっかりと天文筋・小指があてられているとできるものではありません。
なので、マメができている人は手の内を改善する必要があります。
次の章では安定した『手の内』となる部位、小指の重要性について解説していきます。
『手の内』での小指の重要性
『手の内』での小指の重要性について触れて行く前にまずは小指の働きから解説させていただきます。
まずは天文筋について・・・
手のひらにある天文筋という筋があります。
天文筋の場所としては、手のひらを曲げて小指付近にある大きくて目立つ筋が天文筋です。
この天文筋が弓の握りの際には、矢が来る側に当たる筋なので、この天文筋がずれてしまうと、『手の内』は崩れてしまいます。
仮に親指が安定していても、射が不安定なのはこの手の内のなかでも天文筋の握りがずれている可能性もあります。
ここで、『手の内』を安定させる天文筋を維持させるのに重要になってくるのが小指なのです。
小指は『手の内』の中では第一関節が握っている・かかっているような状態です。
小指の第一関節にかかっている状態では、弓構えや大三といった弓手の負担が大きくなる場面で崩れてしまう原因になります。
なので、天文筋は弓の握りに当たるべき所にあてることができなくなります。
ではどうすればいいのか・・・・
- 小指の働きと天文筋の適正位置で捉える事
- 上押しだけにならないようにする
このようなことが重要になります。
弓手の小指の働きを『手の内』で最大限活かす方法
前の章からも、弓手の小指の働きがとても重要だということは理解していただけたと思います。
ここでは、『手の内』で弓手の小指の働きを最大限に活かす方法について解説していきます。
人間の手は皆同じ大きさではありません。
指の長さにしてみても変わります。
当たり前のようなことを言っているようですがこのことで、同じ事をやっていてもうまくいかない人もいれば、解説通りにいく場合もあります。
今回この章では小指の配置について解説していきます。
もちろん多少のズレがある場合には、微調整を行って頂きたいです。
では、適切な配置とはどのような場所に小指があることをさすのでしょうか。
適切な小指の配置は、『弓の外竹』と呼ばれている握りで場所でいうと親指が当たる反対側を指しています。
この『弓の外竹』に小指があれば『手の内』では適切な位置にあるといえるでしょう。
そして、天文筋は弓の外竹の左角に来ます。
次に手の内でしっかりと小指が適切な位置に来ているかを確認していきましょう。
- 残身の時に『手の内』が崩れていないか?
- 弓返りを無理に行い緩めていないか?
- 弓の下側が上をむいていないか?
- 小指が適正な位置から外れていないか?
- 無理に中指や薬指で握りを持っていないか?
上記のような状態が見られる場合には、改善ができるので、意識をして直していきましょう。
対策としては、『手の内』を作る時に中指・薬指で握りでもっていこうとしないで、小指をしめるイメージで持ってみてください。
小指というのは、とても重要な働きをしています。
ケガなどで小指を突き指や骨折をしたらわかりますが、握る力が半減されてしまいます。
つまり逆に上手に『手の内』のときに小指を利用すれば、弓手が安定するということもわかりますよね。
小指が使えない状態を感じてみれば、小指の重要さも理解が深まるのではないでしょうか。
それに加えるのであれば、一度調整したら小指の使い方が安定する!
というわけにはいかないこともあります。
それでも、『手の内』での小指を意識することで、いまより『手の内』は良くなります。
何度も繰り返し『意識』して試すことが重要です。
そして、思いませんか?
例えば、一度『手の内』を修正して、簡単にできてしまうような弓道なら、誰も魅力を感じないのではないでしょう。
技術だけでは成り立たず。
心だけでも成り立たず。
このような所に弓道の魅力があるのです。
そうした気持ちで弓道と向かい合い、『手の内』をマスターするために小指の使い方を試行錯誤していくことを考えると、心の幅も広がって来るのではないでしょうか。
弓道の『手の内』人差し指の作り方
この章では『手の内』での人さし指にポイントをあてて『手の内』の作り方をみていきましょう。
小指の作り方でも解説をしましたが、天文筋に弓をあてると良いということもお伝えしてきました。
ただし、方法や改善策はいつも1つではありません。
その人にあったやり方もあれば、同じことを言っていても違った切り口から言うと伝わりやすいことがあります。
例えば、小さい子どもがジャンケンを覚える時に一番難しい『チョキ』
少し指の使い方がなれれば『チョキ』を出すのは簡単ですが、初めて『チョキ』を出すときはなかなかできないものです。
その時にAさんは子どもに・・・
『チョキを出す時は手を広げて、小指・薬指を順番に曲げてから、親指を曲げればできるようになるよ!』
と教えました。
Bさんはこどもに・・・
『グーを作ってから、人さし指・中指の順に指を伸ばすとチョキができるよ!』
と教えました。
この2つは全く同じことですよね。
結果が同じものになります。
しかし、子どもがどちらがやりやすいか?
これだけです。
なので、弓道でも1つの考え方に囚われるのではなくて、違った方向からも考えてみると、今抜け脱せない問題から『あっさり』抜け出せることがあります。
そこで、感覚的なお話になりますが、ちょっとした提案です。
例えば人の手の大きさ、指の長さや指の太さはそれぞれ違います。
なので今の現状から皆それぞれの違いはあるかもしれませんが、基本的なことを解説していきます。
そこからアレンジを加えて頂いて、弓道上達・『手の内』の克服につなげて頂きたいです。
人差し指で変わる『手の内』
人差し指の作り方を学べば、『手の内』も変わります。
弓を押しやすくなる人差し指の使い方を解説します。
結論から言うと・・・
人差し指を少し立てる事で弓が押しやすくなります。
人差し指は『手の内』で弓に殆ど触れていない指です。
なので、あまり『人差し指が重要だ!』とは思われていないのですが、実は人差し指を上手に使う事で断然弓手の安定感が増します。
『手の内』を改善する人差し指の使い方(実践編)
具体的には、
- 人差し指は軽く曲げ
- 1cm前後人差し指を上げる
この2点をおこなうことで弓が押しやすくなります。
人差し指で弓が押しやすくなる理由
親指と人差し指が平行よりも、人差し指の方が1センチ前後上にある状態だと、親指の付け根が勝手に下がります。(ここがポイント)
この親指の付け根が下がることで得られる効果があります。
それは手のひらの掌根部と言われる部位で弓が押しやすくなるのです。
掌根部とは、小指の付け根から4cm前後下の手のひらの部位を指します。
そうすることで、手首は曲がりにくい状態になります。
それに加え真っすぐにに押しやすく整いも綺麗になります。
『手の内』での人差し指まとめ
人差し指は『手の内』だけではなくて、引分けや会のときも真っすぐ伸ばしきらないイメージが良いです。
伸ばしきった人差しにするのではなく、柔らかいゴムボールを潰さないように持つ様な感じで曲がりきっているわけではなく、ふわっと伸びている『自然体』がイメージとしては良いです。
また人差し指が伸びきるとどうなるかというと・・・
親指の動きが弓を持っていると制限されてしまいます。
そうなると親指が内竹の方に入りにくくなってしまいます。
『ふんわり』が人差し指のポイントになります。
【弓道】の『手の内』親指の作り方
手の内で親指でのトラブルが、
- 親指が曲がる
- 親指が痛い
この2点ではないでしょうか。
この2点を克服する方法を探っていきましょう。
『手の内』で親指が曲がるのはダメ??
手の内で親指が曲がるのは好ましくない。
理由は2つ
- 伸ばしている状態よりも指の皮がたるんでしまうために角見が利きづらくなる為
- 射出(矢を放つ瞬間)にブレる
角見とは親指の根元の部分のことを指します。
左手(弓手)の力を伝えるにはとても大切な部分です。
左手の親指と中指と平行に的に向かって強く伸ばすことができるのは、親指根で弓の内竹の右側を強く押すことが出来ているからです。
次に親指が曲がっていると射出でぶれてしまい、的方向ではなくて、手前方向にも動いてしまいます。
なので、思ったように的に飛んでくれません。
その為に親指が曲がっている場合には、直していく必要がでてきます。
親指が痛い原因はなに?
親指が曲がってしまう原因のひとつは力が加わり過ぎている場合があります。
『手の内』では握るのではなくて、押す力とともに添えるような感覚でおこなうのがコツになります。
また、無駄な力が加わると筋を痛める原因にもなります。
痛みが出る=どこかへ負担をかけすぎていると考えると良いかもしれません。
その時にナゼ痛むのか?などを確認していくることで、『手の内』が良くなる場合もあります。
- 弓手に対して親指の力はいれない。
- 親指を真っすぐにする。
- 馬手(右手)の手の内で親指は力まない。
- 馬手で親指が反り返っていること。
このような親指の作り方を意識すれば、安定感のある『手の内』が仕上がるでしょう。
それでも、弓道初心者の方が親指を起こす・曲げないというのはいきなりは難しいかもしれません。
感覚を掴む為に意識的に行う事で改善はされるものなので、根気よく修練していきましょう。
【弓道】手の内での中指の作り方
射法八節での取り懸け・大三・引き分け・会での手の内の崩れをそれぞれ解説していきます。
取り懸けでの手の内の崩れ
取り懸けで手の内の時に、中指・薬指・小指を一直線に揃える事。
そうすることで手の内の崩れを防ぐ事ができます。
手の内でしっかりと揃えたら中指を親指の中に半分隠すようにのせます。
強く握りすぎてしまうと手の内が上手に機能しませんので、そっと弓を支える具合にで握る事が理想です。
大三での手の内の崩れ
大三の時に崩れる場合には、打ち起しで抜いたはずの力が一気に戻っていることが原因かもしれません。
対策としては、素手引きで手の内の弓手の感覚を作りイメージすること。
意識して手の内を確認するのが良いでしょう。
仮に、握り皮がすべる場合には、ふで粉などを使用してみましょう。
引分け・会での手の内の崩れ
手の内の控えすぎや、入りすぎが原因で引分けや会で手の打ちが崩れる場合があります。
その場合には人差し指と親指の間のシワから腕に向かう所を線で結ぶイメージにします。
その線のイメージと合致して一直線になっているかを意識してえみてください。
会の時の手の内の崩れは親指を意識すること。
中指を親指に半分隠すようにすることで直すことができます。
『手の内』が崩れた時の練習方法
手の打ちが崩れたときには、素引きで感覚を養う・意識する練習方法が良いでしょう。
素引きで『手の内』を作り半分弱まで引いて離してみます。
そうすることで、大体の手の内の善し悪しがみえてきます。
注意点は・・・その時に弓手の手首を離した時に反らないように注意が必要です。
完全に引分けたら弓自体が壊れるので注意しましょう。
弓返りを意識しているのなら、自分自身で回そうとしないほうが良いでしょう。
手の内ができれば、自然に弓返りができるようになりますので、無理に返さないことです。
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